Dolls Museum

古今雛 (こきんびな)

 古今雛は江戸時代の明和年間(1764〜1772年)、十代将軍である徳川家治の治世に江戸で生まれたとされる雛人形です。 「古今」とは、『古今和歌集』にちなんで名付けられ、公家風の優雅さを表現した名前でもあります。
 男雛は黒綾の束帯姿、女雛は裳唐衣(もからぎぬ)と宝冠を身に着けた格式高い姿をしており、非常に精巧なつくりが特徴です。享保雛以降に広まった町雛の代表的な様式としても知られています。

雛人形

 ひな人形は女の子の健やかな成長と幸せを願って、3月3日の雛祭りに飾られる伝統的な人形です。関西では豪華な衣装をまとった天皇・皇后を表す御殿飾り、関東では宮中の様子を再現した段飾りなど、その種類や飾り方は多様です。
 このような美しい風習は、意外にも古代から続くものではなく、江戸時代に入ってから現在のような形が整えられました。もともとは、紙の人形を川に流して厄を払う「流し雛」の風習がありましたが、次第に人形を飾って祈る行事へと発展していったのです。